料率クラスとは何? 同条件でも翌年の保険料が上がることがあるって本当?
保険会社も変えず、車や等級・補償内容がすべて同じなのに、保険料が上がることがあります。それは、保険会社が保険料を値上げしたときと、料率クラスが変わったときです。料率クラスとは、車の型式ごとの保険金支払い実績を参考に、損害保険料算出機構が数値化しているリスクの大きさです。
条件が同じで、保険会社が値上げをしていないのに保険料が上がった場合、料率クラスが上がった可能性が高いでしょう。今回は、自家用普通乗用車(以下 普通車)や自家用小型乗用車(以下 小型車)に乗っている人は知っておきたい、料率クラスについてご説明していきます。
Contents
料率クラスとは何?料率クラスが保険料に影響を与える理由
料率クラスで型式別のリスクがわかる
料率クラスとは、過去3年間の保険料と事故などによって支払われた保険金を集計して損害率を算出し、自家用乗用車の平均損害率と比較してリスクの大きさを数値化したものです。
車の型式別に「対人賠償」「対物賠償」「搭乗者傷害」「車両保険」と4つの項目それぞれに、1から9までの数字が割り当てられます。1が最もリスクが低く、9が最もリスクが高いので、9に近い数字になればなるほど、保険料も上がります。
例)
ヴィッツ(2017年10月発売モデル 型式:DBA-KSP130)
対人賠償 4 | 対物賠償 5 | 搭乗者傷害 4 | 車両保険 3 |
レクサスLS(2017年10月発売モデル 型式:DBA-VXFA55)
対人賠償 6 | 対物賠償 5 | 搭乗者傷害 4 | 車両保険 8 |
一般的に、走行性の高いスポーツカーや、外車をはじめとする高級車は、コンパクトカーなどに比べると料率クラスも高いです。とくにいたずら被害や車両盗難が増えることから、車両保険の料率クラスがとても高くなっています。
過去の保険金支払い事例が多い=事故が起こりやすく、保険金を支払う可能性が高い車とみなされるため、料率クラスを上げて、あらかじめ保険料を高く設定しているのです。料率クラスは、普通車と小型車に適用され、自家用軽四輪乗用車(以下 軽自動車)は対象外です。
軽自動車は車の大きさ・形に違いはありますが、排気量はあまり変わりません。そのため、軽自動車には料率クラスが適用されておらず、基本的に普通車や小型車よりも保険料が低く設定されています。
損害保険料算出機構ってどんな団体?
料率クラスを算出している損害保険料算出機構は、特定の保険会社が運営している団体ではありません。「損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の保護」という社会的責任を果たすために中立の立場で損害保険に関するデータを算出し、各損害保険会社や保険契約者に提供しています。
ちなみに、車の強制保険である自賠責保険の損害調査をしているのも、損害保険料算出機構です。各保険会社を通して請求者から提出された、自賠責保険請求書類にもとづいて事故状況・保険金支払いの的確性・損害額などの調査を行っています。
料率クラスを調べる方法は?損害保険料算出機構の公式サイトで簡単にわかる!
料率クラスを知る一番簡単な方法は、損害保険料算出機構の公式サイトで検索することです。ためしに、ヴィッツ(2017年10月発売モデル 型式:DBA-KSP130)の料率クラスを調べてみましょう。
損害保険料算出機構 型式別料率クラス検索
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/automobile/vehicle_model/
このURLをクリックすると、こちらのページが開きます。
検索できない車は普通車・小型車以外の車と、改造車や並行輸入車などです。型式はメーカー・車名で検索できます。タブで該当の車を選んでくださいね。
「メーカー・車名で検索」ボタンを押すと、以下のように該当の車両の型式一覧が出てきます。
そこから自分の車の型式を選ぶと、料率クラスがわかります。
ちなみに、最初の画面で普通車か小型車かを選び、型式を直接入力するとすぐに料率クラスの画面になります。こちらが型式を直接入力する画面です。ここでのポイントは、ハイフン以降のアルファベットと数字を入力することです。
型式:DBA-KSP130→「KSP130」部分のみ入力
ネット検索以外にも、各保険会社が発行している自動車保険車両標準価格表という冊子で料率クラスの確認ができます。この冊子は、発行している保険会社が違っても内容は同じですまた、すでに自動車保険(任意保険)に加入している場合、契約車両の料率クラスは保険証券にも記載がありますよ。
2018年1月から自動ブレーキ割引が導入!自動ブレーキの有無で保険料が割り引かれるってどういうこと?
このように、保険会社各社は料率クラスを参考にして保険料を決めていますが、2018年1月から新たに自動ブレーキ搭載車(AEB)を対象にした保険料の割引が導入されています。自動ブレーキ(AEB)とは、正式には衝突被害軽減ブレーキと呼ばれ、先進安全自動車(ASV)の機能のひとつです。
先進安全自動車(ASV)の代表的な機能例
- 衝突被害を軽減する自動ブレーキ機能(AEB)
- 車速を調整して前の車との車間距離を保つ装置(ACC)
- 方向指示器を出さずに車線をはみ出そうになったときに知らせる機能
AEBがあれば、前方の障害物へ衝突したり、衝突の被害を小さくしたりするために、自動でブレーキがかかります。
この装置があれば、事故のリスクは低くなると考えられていますが、AEBを導入してからまだ年月が経っていない型式の車については、保険金支払いの実績が十分に蓄積されていないため、そのリスク軽減効果が料率クラスの数値に反映されていません。
そのため、発売後3年以内かつAEB装置を有する型式の車を対象に、保険料が割引かれることになりました。AEB装置による保険料割引が適用される型式の車かどうかは、先にご紹介した損害保険料算出機構の料率クラス検索ページで確認できますよ。
AEB割引の対象車は、このような表示となります。
「AEBの装着による保険料の割引」が対象と確認できますね。
まとめ
料率クラスは、全国の同じ型式の車に乗っている人の事故・保険金支払い実績で決まるので、自分が事故を起こしていなくても、同じ型式の車に乗っている人たちの事故が頻発すれば、自動的に保険料が上がってしまいます。
一見、不公平に見えて公平なこのシステムですが、自分ではどうすることもできない数値なので、あくまで参考程度に見ておくのがよさそうです。